出身大学で年収が変わる?学歴社会は本当に崩壊するの?

今年度に受験を控える高校生たちは、誰もが一度は聞き覚えのある有名私大を受験したいと思っているようですし、年収は出身大学で100万円近く変わることがあるそうです。

しかし、受験したいと思う大学に本当に受験するのでしょうか?高学歴の社会人は高い年収に見合った仕事をしているのでしょうか?

今回は、リクルート進学総研の発表した「進学ブランド力調査2019」OpenWork発表の「出身大学別年収ランキング」を参考に、高学歴が優遇される社会の現状とこれからについてまとめました。

この調査は「進学ブランド力」ではない

進学ブランド力

ここでは、「進学ブランド力調査2019」について読み解いていきたいと思いますが、そもそもこの調査、内容とタイトルが一致していないのではないでしょうか?

この調査において登場する大学を見ると「大学のブランド力」というより、解答者が自分の学力で行けるであろう大学のうち、一番雰囲気のよい大学を選んだように思われます。

そもそも大学のブランド力とは何か

一般に、大学のブランド力というのは集客力の高さや大学の業績、知名度の合計値とされています。

日本国内において最も知名度・業績・集客力の高い大学は、どう考えても東京大学や京都大学に他ならないはずです。

しかしこの調査内において東京大学は「教育方針・カリキュラムが魅力的であるイメージ」で関東・東海地域における首位以外では登場していません。

なぜこの調査結果となったのか

それは、この調査で登場する大学がほとんど私立大学であることが理由の一つ。

私立大学は基本的に広大な敷地面積と非常に美しいキャンパスを持っているため雰囲気がありますし、金銭的な負担は大きいですが、大学内に多くの奨学金制度を持ちます。

競争率の高い国立大学を第一志望に据えたうえで現状を考慮した解答をするなら、この調査結果は妥当だと思われます。

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「進学ブランド力調査」は入試に直結しない

さて、ここまで「進学ブランド力調査」を参考にする上で前提となる話をしてきました。

その上で、この調査が大学入試の倍率と関わりがあるか考えていきましょう。

大抵の受験生はよほどの理由がない限り、学費の安さなどを理由に国公立大学を第一志望とするそうですが、この調査の結果はどうでしょうか。

国公立大学で登場しているのは関西大学、大阪大学、名古屋大学、東京大学、京都大学、東京外国語大学のみでランキングの多くを占めているのはやはり私立大学ですよね。

調査時期が4月ですので、この調査が4月段階から推測する学力着地点の予測に伴う「志望したい大学のランキング」であるなら、この調査が入試倍率に直結するとは言い難いでしょう。

今日に至るまでの勉強の成果で志望校のレベルが上下することはよくありますし、進路自体が変更になった人も多いはずですから。

現状として「高学歴」は上流企業優待券

エリートの卵

高学歴に高所得者が多いと当然のように言われていますが、なぜそう言われているのか考えたことはありますか?

最も分かりやすい高学歴=高所得の体現は、政治家です。

ここでは国会議員について触れますが、国会議員のそのほとんどが東京大学のような難関大学の出身です。タレントからの転身でもない限り最終学歴は大学+海外留学が基本。

例えば第98代内閣総理大臣である安倍総理の最終学歴は、成蹊大学と南カリフォルニア大学(中退)です。
成蹊大学の偏差値は今でこそ57.5と中堅~難関レベルですが、当時はもっと偏差値の高い難関私立大学でした。

総理大臣と国会議員の年収は?

総理大臣の年収は、月給に地域手当、ボーナスなどで約4015万円です。
ただ、それに加え第二の給与・文通費があるため実際の年収は約5214万円

この金額は高GDPをマークする他国と比べてもかなり高い部類です。

総理でなくともそもそも国会議員の年収は非常に高額です。
基本給として約2200万円、それに文通費などが加わると約3400万円から4400万円になります。

日本人の平均年収は432万円とされています。
国会議員によっては日本人平均の10倍ほどの年収を貰っていることになり、その異様さが分かると思います。

就職に立ちはだかる「学歴フィルター」

結論から言うと、日本の企業には確かに「学歴フィルター」があります。
それは受験という高い壁を突破した、という実績が学力や忍耐強さのふるいになるためです。

大手企業であればあるほど志願人数は多く、すべての人と面接するわけにはいきません。

書類審査の段階で一定以上の学歴がある人以外をふるい落とすのは、落とされた人にも学歴という理由ができますから理にかなっていると言えます。

とは言っても、人事担当も高学歴の人間がすべて有能な人材であるとは思っていないので面接が行われます。

逆に言えば一定以上の学歴なら、面接の自己アピール次第で大手企業にも就職できるということです。

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「年収ランキング」を紐解くと

企業が学歴フィルターを設ける理由について解説してきました。

それを踏まえて「出身大学別年収ランキング」を見ていきたいと思いますが、そもそもこのランキングは信憑性がかなり薄いです。

データは就職・転職活動のサポートを行う「OpenWork」登録者の集計ですが、もとよりWEBサイト自体の登録者が高学歴かつ上流企業に勤めてる傾向にあります。

そのうえ「年収と年齢データの分布から30歳時の想定年収の算出」ですので、このランキング自体がかなり限られた範囲の人に限定して集計されたデータだということが分かります。

本当に一位は東大の810万円?

このデータの集計範囲の狭さだけでない根本的な話をしようと思います。

皆さんにとって高学歴かつ高収入のエリートというイメージの職業で第一に挙げられるのは、医師ではないですか?

現在の30代医師の年収は約1200万円からとされていますが、ランキングの一位は東大の810万円ですね。

医師も含んだランキングであるならもっと一位の年収は高くなるはずですし、何よりも慶應義塾大学のような医学部の強い大学がTOP3に入るでしょう。

さらにIT技術者を含んだランキングであれば工業系の大学の順位も高いはずではないでしょうか?

学歴社会が崩壊する可能性はゼロ?

目指すは下剋上

よく日本は学歴社会だと言われますが、本当に学歴社会なのでしょうか?
海外と日本を比較してみると、日本の「学歴社会」はかなり緩く簡単に下剋上のできるものです。

西欧諸国の学歴社会はもっと厳しく、ドイツでは小学校入学時点で付き合うべき人、通うべき学校、と後の人生がすべて決まります。

日本なら小学受験から中学受験、高校受験、大学受験と逆転するチャンスはいくらでもあります。

いい大学に通うのも、血を吐くほどの努力をすれば学力・経済の両面をカバーできます。そんな日本は正しい定義では「学歴社会」とは言い難いです。

では日本の社会の持つ、高学歴を優遇する在り方は一体何と呼べるのでしょうか?

どうして学歴重視の社会が成立するのか

日本が性質として持つ最終学歴を気にする気質、これは基本的に就職の時に表面化しますよね。
どうしていい大学を出た人間を優先して大手企業は取ろうとするのでしょうか?

これは日本人の周りの人と足並みを揃えようとする悪癖が出ているためです。

大企業の重役になぜ高学歴が多いのでしょうか?政治家に高学歴が多いのはなぜでしょう?

それは自分と同じような学力・資金力の人間だけで周囲を固めようとするから。よく学歴社会と同一視されるこれ、実は「学閥社会」といいます。

「自分はあんなにも努力して某大学に入学したんだから、そうじゃない人よりも同じように努力した人と一緒に仕事をしたい」そういう無意識が今の社会の在り方に繋がるのかもしれません。

学歴重視社会の崩壊神話

バブルがはじけた頃からまことしやかに囁かれつつあった学歴社会の繁栄と衰退神話。

いつまで経っても「学歴社会」の崩壊は訪れませんが、実は「学歴社会」は少しずつ崩れ始めています。

その最たる例は人工知能の発達やグローバル化です。今まで高学歴の人間に要求されていた高い分析能力や多大な知識は人工知能が代行しますし、検索すれば知りたいことはなんでも分かります。

大学で語学力を高めても、人生経験が薄ければユーモアを交えた会話なんてできません。しかもネットの英訳技術は日に日に精度が上がってきていて、どんな国の人とだって会話しようと思えばできます。

これからもっと国や人同士の距離は縮まっていくでしょう。

そんな世界において、同じレベルの人間だけで固まるような人たちは徐々に社会から独立していきます。

それは学歴社会の、学閥社会の崩壊と言わずになんというのでしょうか?

出身大学で年収が変わる、高学歴優待の罠まとめ

日本は学歴社会と言われて久しい今日、徐々に高学歴を優待する社会は崩壊に近づいています。

大手企業も世代交代によって学歴だけを重視する風潮は薄くなり始めましたがやはりまだ健在です。

せいぜい2,30年は就職において学歴は人をふるいにかける道具となるでしょう。

しかしそんな社会にあって高い年収を得るために大学に通う風潮は正しいのか、改めて考えるべきではないでしょうか。

自分がしたい仕事であるなら、最低限生活できる程度の給料でもいい。そんな考えで将来設計するのも案外悪くないのかもしれませんよ。

参照サイト

リクルート進学総研「進学ブランド力調査」
OpenWork「出身大学別年収ランキング」

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